「カンボジアから世界で活躍する企業へ」青木氏 (SpaciaNet Co.,Ltd.)

「カンボジアから世界で活躍する企業へ」青木氏 (SpaciaNet Co.,Ltd.)

今回、日本でも多く利用者がいるAirbnbのオフィシャルパートナーとしてオンラインコミュニケーションサービス AirXpressやレンタルオフィス、イベントスペースの貸し出しなどを行っているSpaciaNetCo.,Ltd.の共同創設者である青木渉氏にインタビューをさせて頂きました。

貴社の業務内容について教えてください。

AirXpressは、2015年にカンボジア人パートナーであるワコラと創業しました。サービス内容は、日本の宿泊施設向けのオンラインコミュニケーション代行(メール、チャット、電話など)をしております。Airbnb(※以下エアビー)などで宿泊施設向けにこのサービスを展開しており、言語は英語、日本語、中国語、韓国語、クメール語と幅広く対応しており各言語が話せるスタッフがいます。

また、プノンペンのダイアモンドアイランドにあるオフィスビル内でSpaciaNetブランドとしてスペースレンタル事業を展開しています。現在、プノンペン市内は、大きな建物の建設ラッシュにより空き部屋も増えてきているため、様々なオフィスビル空間の有効活用をするための取り組みを行なっております。

日本での社会人生活から海外での起業へ

カンボジアに来て起業するまでの経緯について教えてください。

製薬会社で6年半、薬局で1年働いた後に、カンボジアへ移住しました。日本で働いていた頃、よく海外旅行しており、当時から海外で起業したいと考えていました。カンボジアを選んだきっかけは、世界一周旅行から帰ってきた友人に「カンボジアが面白い」と聞いた事です。カンボジアにはそれまで一度も行った事がなかったのですが、個人的に東南アジアが好きだった事もあり、すぐに視察へ行きました(2013年2月)。今では日系企業の進出が増加し街も便利になってきていますが、8年前の当時は、イオンもなく日本食レストランなども数軒しかありませんでした。

しかし、人々にエネルギーがある国だと感じ、住んだら面白い事ができるのではないかと思い同年10月にカンボジアに移住しました。当時のカンボジアは、一人でも個人として何でもできそうな環境だったんです。カンボジアで医療関係のN G Oで活動をした後、ワコラとの出会いをきっかけに2015年6月に創業しました。

カンボジアに来てからの苦労や事業を立ち上げる上で大変だったことは何ですか?

一つ目は、カンボジアに移住した当初はカンボジア国内の市場向けにサービスを提供するビジネスをいくつか行いましたが、どれも上手くいきませんでした。
カンボジアの国内市場でサービスを提供するには、飲食業も物販も仕入れ価格が高いのに、販売価格を高くできず、利益を出しにくい。高くすると売れないというジレンマが生じ、しっかりと利益を確保するビジネスを組み立てる事ができませんでした。

自分が考えていた以上にカンボジア国内でのビジネスは難しかったんです。簡単にビジネスを始める事ができる割に、やってみたら予想とは全然違ったというのがカンボジアビジネスではないでしょうか。現在の主力ビジネスであるAirXpressはカンボジア国内にいる優秀な人材を生かして、日本国内の市場向けにオンラインでサービスを提供しているので、そのジレンマが発生する事なくしっかりとした仕組みを作る事ができています。

2つ目は、組織の仕組み作りです。コロナの感染が拡大する前までは、AirXpressとして日本国内の2000部屋以上の宿泊施設と契約していました。70人以上の従業員がいる環境で、価値観や育った背景も様々な多国籍メンバーがいる組織を、どのようにまとめていくのかが大きな課題となっていました。ただコロナ前は時間もなく、課題を解決するためにしっかりと向き合う事もできていませんでした。しかし良くも悪くも今回のコロナの感染拡大により観光客が減った事で、組織としてのあり方を見直す期間にもなり、より強固な組織として、良いサービスをする体制を整える事ができたと思います。

現在の会社でのやりがいや達成感を感じられた出来事について教えてください。

会社を立ち上げてから大きな達成感を得られた出来事は、エアビーの公式パートナーになれた事です。2017年頃からコンタクトを取り続けていましたが、既に日本の別の競合会社との契約をしてしまっていたため、パートナー契約を結ぶのを断られ続けました。日本に帰る度にAirbnb Japanに通っていました。何回も断られながらも必ずできると信じ、2年間通い続けた結果、2019年に正式なパートナー契約を結ぶ事ができました。
個人的にやりがいを感じるのは、自分の身近にいる人達を喜ばす事ができる時です。「やりがい」と考えた時に、仕事に対して、お金に対して、お客さんに対してなど様々ありますが、自分が関わる人達の力になっていると感じられる事が1番のやりがいです。
やりがいがあると思って入った会社でも、周りの環境、人間関係によってやりがいを感じられない場合もあります。正直、頭で考えてもわからないので、とにかくやってみるという事がやりがいを見つける上で大切な事なのではないかと思います。

カンボジアで働く上で大切にしている事について教えてください。

大切にしている事は、3つあります。1つ目は、お客様にギブできているか常に意識することです。なぜなら、相手に対して先にギブする事で、何かトラブルが起きた時に周りの方々が助けくれたり、本当に力になってくれたりしました。このgive&giveの心持ちでいる事が相手からの信頼に繋がり、ビジネス、人との関係を築く上でも大切になってくると思っています。2つ目は、継続と行動のスピードです。目標に向かう行動スピードを上げ、諦めず続ける事でやり遂げられるという経験をしてきました。エアビーとのパートナー契約を結べたのもこれを実践する事ができていたからだと思います。3つ目は、同じ目線、同じ価値観で働ける現地のパートナーを作る事です。日本人なので、どうしても現地の人々の文化や心情まで理解できない事があります。しかし、創業パートナーのワコラがいた事でカンボジア人との架け橋になってくれて多国籍な中でも良い組織を作る事ができていると思います。カンボジア国内のビジネスに限らないですが、ビジネスアイディアよりも誰と一緒にやるかというのが一番重要なのではないでしょうか。

今後のビジョンについて教えてください。

僕たちにはミッションがあって、弊社のシステム開発、デジタル技術を使って、カンボジアの既存ビジネスを変えていく事です。このデジタルトランスメーションを促進する事でカンボジアから世界で活躍するような会社にしていきたいと考えています。そのためにもまずは、カンボジアの株式市場に上場したいと思っています。その後、カンボジアから世界の舞台で活躍する会社にする事が将来のビジョンです。

カンボジアで働きたい日本人の方々へのメッセージをお願いします。

カンボジアでビジネスをする場合、自分が必ず移住し、カンボジア文化を実際に肌に感じながら、しっかり根差したビジネスをするべきだと思います。日本とカンボジア、二足の草鞋でビジネスをやろうとすると、違う国という事もあって、信頼関係を構築できず、騙されてしまったり、従業員がいなくなってしまったりして難しいという話をよく聞きます。経営者がカンボジアに移住して、地域に根差し、人々に寄り添ってお互いに信頼関係を作っていく事が最も重要な事だと思います。

SpaciaNet Co.,Ltd.

青木 歩氏

〇経歴
神戸薬科大学を卒業後、外資系製薬会社 アストラゼネカにてMRとして従事。
その後、臨床経験を積むために薬剤師としての経験を積む。2013年にカンボジアへ渡り、海外で働きたいという長年の夢を実現。
低所得者に医学的な支援を行うためのNGO Act of Unity Japanを立ち上げる。2015年には創業パートナーであるワコラ氏と出会い、その後AirXpressを創業


Website
AirXpress: https://airxpress.jp/
SpaciaNet Co.,Ltd. : https://spacianet.com/

編集後記

今回、カンボジアでSpaciaNet Co.,Ltdを経営されている青木さんにインタビューをさせて頂いて、カンボジアという異国の地で働くためのマインドや経営者という目線からどのように働けば良いのかについて貴重なお話をお伺いしました。カンボジアと聞くと発展途上国、地雷などとマイナスなイメージを持たれる方も多いと思いますが、青木さんのように「カンボジアから世界で活躍する会社にする」という熱い思いで働かれている方もいます。この青木さんの記事を読んで少しでもカンボジアのイメージやカンボジアについてより興味を持ってくれる方がいたら幸いです。今回、お忙しい中貴重なお時間を割いてインタビューを受けてくださった青木さんに深く感謝申し上げます。

○編集者:堀口裕生

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