「ご飯でカンボジアに笑顔と健康を」楠川氏 (Riceball Phnom Penh)

「ご飯でカンボジアに笑顔と健康を」楠川氏 (Riceball Phnom Penh)

今回、カンボジアでおにぎり専門店を営み、製造から販売まで自社で手掛けている楠川歩氏にインタビューをさせて頂きました。

貴社の業務内容について教えてください。

僕達は、「RiceBall Phnom Penh」というおにぎり専門店をやっていまして、店舗以外に、製造、コンビニエンスストアやカフェなどへの卸業、デリバリーも手掛けております。おにぎりには、カンボジアのジャスミン米(バッタンバンの長粒米)、ベトナムで生産された日本米、北海道産の「ななつぼし」というお米を使用しています。中でもカンボジアのジャスミン米は、国内で販売されている中でも質の良いもので、お米にもこだわったおにぎりを作り販売しています。

商品について教えてください。

おにぎりと言っても種類が豊富で、日本で見られる普通のおにぎりから手巻き寿司風のおにぎり、おにぎらずなどもあり、カンボジアのコンビニエンスストアやカフェへ提供しています。北海道産のお米は、15度以下で輸送し、お米を炊く直前に精米してご飯を炊いています。主なお客さんは、現地の日本人駐在員、外国人駐在員、カンボジア人がそれぞれ1/3くらいです。カンボジアの方々もアニメなどから日本を代表する食べ物であるおにぎりの認知度も高まってきており、多くのカンボジアの方々にもおにぎりを買って頂いております。また、カンボジアは、一人当たりのコメの年間消費が世界2位で、お米の質も世界的に高品質であると称されています。

カンボジアで起業するに至った経緯について教えてください。

大学卒業後、商社、情報通信機器を製造する会社などを経験してからカンボジアに来ました。前職時代から海外に行く事が頻繁にあり、中国や北欧のライフスタイルが全く違うと感じる事が多かったんです。そういった経験から「今のままの自分で本当に大丈夫なのか?」と思うようになり、海外に住みたいという気持ちが芽生えていきました。

カンボジアは発展しきっているわけではないですが、急速に発展してきており、多岐にわたる産業の成長、環境問題への取り組みなども進んでいる事から「この国が面白いのではないか?」と思い、年齢的にも家庭的にも(子供が小さい時に)行動するなら今しかないと思い移住を決断しました。カンボジアに移住するというのはリスクもありますが、それらも含めて面白いのでは?と思ったんです。
自分の中では、このまま日本でしか生活をしないという事を選んだら後悔すると思いました。

また、おにぎり屋を始めた経緯は、条件的にもおにぎり屋さんは良いのではないか?と考えていました。なぜなら、カンボジアは世界第2位のコメ消費国で、食文化も日本と似ており、おにぎりなら需要があるのではと考えていました。
日本だとコンビニエンスストア等で販売されているおにぎりは機械で作られていますが、人の手でにぎった「おにぎり」を、商品として売りたいという思い、とにかくやってみようの精神で始めたのがきっかけでした。

一番大変だった経験や事業をする上で工夫した点は何ですか?

飲食業の経験はありましたが料理人ではないので、大変というか、メニュー開発やオペレーションのマニュアル化は工夫をしました。材料をどう仕入れるのか?どの層をターゲットに商品を作り、売るのか?など工夫する点は、様々にありました。

またカンボジアという異国で、おにぎりを知らない従業員に対して、誰にでも理解でき、品質管理が行われるよう、友人の料理人と共同で調理の手順を工程ごとにマニュアルに落とし込みました。作業を細分化し、言語化、数値化できるようにすることは、一番工夫が必要で、労力を使う部分でもありました。

働く上で大切にしている事を教えてください。
環境や立場によって変わると思うのですが、どういう事をやりたいのか信念を決め、行動できるかが大事だと思います。その信念がぶれてしまうとうまくいかない時に修正が難しくなってしまいます。僕達の理念は、世界の人々に健康で楽しく過ごせるようなご飯を提供する事です。
You are what you eat,(あなたは、食べた物でできている)という、食事によって健康は作られているという言葉があります。なので、一回の食事を気をつけたり、特定の物だけを食べたりすれば良いというのではなく、食生活トータルで考えた提案ができるようにと考えています。
カンボジアの方との関わり方について気をつけている事があれば教えてください

カンボジア人も日本人も、一緒に働く上で付き合い方に違いはなく、基本的には相手が何を考えているのかを考慮して真摯に対応する事が大切なのではないかと思います。もちろん文化的な違いなどもありますが、日本人の僕らが外国人として住ませてもらっている以上は、カンボジアの文化に倣い生活する必要があると思います。カンボジア人だから、外国人だからと括るのではなく、一人の人として見る事が大切だと思います。

今後のビジョンについて教えてください。

売り上げを上げるというのも一つなのですが、日本と違って変化が大きく先が見えないのがカンボジアです。しかし、この変化の中でも食べるという事はなくならないので、変化に対応しながら、日常生活に当たり前にあるものとしてRiceBall phnompenhのおにぎりを提供していたいです。また、今後は、おにぎりの製造・販売を通して、フィンテックや教育、エンターテイメントなど様々な分野との協業にもチャレンジしていきたいと考えています。

カンボジアで起業したいカンボジアに興味がある方々へ一言お願いします。

もちろん文化や習慣などの違いはありますが、カンボジアで起業などするなら、カンボジアの事について知り、勉強をする事が最も大事であり、必要な事ではないかと思います。僕達には、幸い選択肢があって、どこで生活し働くのかを自分で決める事ができます。当たり前の事かもしれませんが、やりたい事があるなら準備や勉強をし、自分で決断、行動をしてみてください。

Rice Ball Phnom Penh

楠川 歩氏

〇経歴
大学卒業後、商社にて勤務。その後、情報通信機器の開発・製造会社を経てカンボジアへ移住。

住所:#24, Corner of St.360 and St.57, Sangkat Boeng Keng Kang 1, Khan Boeng Keng Kang Phnom Penh, Cambodia 12302
連絡先:Facebook
     Instagram

編集後記

今回「食でカンボジアに笑顔と健康を」という理念のもとカンボジアでおにぎり専門店を営んでいる楠川さんにインタビューをさせて頂き、一言でおにぎりと言っても多くの人のおかげで一つのおにぎりが作られる事、生きていく上で常に自分で考え、決断し、行動することの大切さを学ばせて頂きました。一言でおにぎりと言ってもお米の生産、輸送、製造、販売などの過程があり、私達、消費者の手に届くまでに様々な人のおかげで、一つのおにぎりができています。この記事を通して、食に対する意識を見直すきっかけになって頂ければ幸いです。是非カンボジアに訪れた際には、Riceball Phnompenhの日本の味を体験してみてはいかがでしょうか?今回、お忙しい中貴重なお時間を割いてインタビューを受けてくださった楠川さんに深く感謝申し上げます。

○編集者:堀口裕生

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