【コラム】カンボジア人と歌文化(前編)

ある程度の期間、滞在された事のある方ならご存知の事と思いますが
カンボジア人は歌が大好きです。歌うのも聞くのも好きです。
タクシードライバーは運転しながら歌っていますし、
食堂のウェイトレスの姉ちゃんも接客中に歌います。

あと祝日休日なんかになると、隣近所から大音量で
カラオケなのかインターネット視聴なのか、
クメール語の歌が(大音量で)聞こえてきます。
朝から晩まで聞こえてくるので、最近の流行りのクメール音楽などは
だいたい(一方的に)(不本意ながら)耳にする事になります。

カンボジアの音楽業界については私はさほど詳しくはないのですが、
やはり人気の歌手が居て、定期的に新曲を出している様です。
ただ、どうも著作権というものに対する認識が独特、個性的で、
CD音源などはさほど流行っていません。主にネット配信です。

著作権がないからなのか、事務所的な交流なのかは知りませんが、
他人の歌をカバーする事が一般的です。
長年、女性シンガーの歌だと思っていた歌が、
実は男性シンガーの方がオリジナルで、女性はカバーだった事や、
その逆のケースがしょっちゅうあります。こちらでは普通の様です。
あと日本の歌や中国の歌がクメール語に翻訳され、
カンボジア音楽として認知されている事もしょっちゅうあります。

彼らは彼らで子供の頃からクメール語バージョンを聞いて育っているので
まさかオリジナルが日本や中国だとは思っていません。
普通に「カンボジアの歌だ」と思っていますし、そう言います。
こちらも、最初は「この歌はオリジナルは日本なんだ」と主張したくなりますが、
証拠を示したところで喜んではくれないので、だんだん諦める様になります。
歌詞の内容がどの程度、日本のオリジナルに沿ったものなのかは
厳密に比較した事がないので何とも言えませんが、メロディは同じです。

分類上どちらかと言うと、彼らに響くメロディというのは
演歌やバラード、あるいはHIPHOP、またはレゲエ寄りで、
ゴリゴリのロックは、彼らにとっては騒音に聞こえる模様です。
(もちろん好みには個人差があります)

それほど音楽好きの人たちなので、まったく静かな空間で仕事をするのが苦手な様で、
仕事中にBGMを欲しがります。静かだと眠くなるそうです。
昔、職場のBGMを色々と試した事があるのですが、
ロックはうるさいと言われ、クラシックは眠気が増すと言われ、
最終的にクメール民謡を、割と大音量で流す事に落ち着きました。
職場でこんな音量で音楽を流すのは、何かに対する冒涜なのではないかと
当時の私は心配したものですが、生産性で見ると間違いなく上がっていたので、
彼らにとってはテンションアップ効果があるんだろうなと黙認した記憶があります。
次回は、街のあちこちに存在するKTV(カラオケ)についてご紹介します。