「カンボジアの人々の健康と栄養改善を目指して!」福原氏(NOM POPOK ノムポポー)」

今回、カンボジアで子供の栄養改善を目指し、健康的なお菓子を展開している福原さんにインタビューさせて頂きました。

経歴
ポル・ポト時代に難民として来日したカンボジア人の両親のもと、横浜で生まれ育つ。内戦がなければ故郷となるはずだったカンボジアにいつか行ってみたいと考え、20代半ばより独学でクメール語を勉強。2011年にボランティアとして初めてカンボジアに渡り、その後、日系企業の現地法人に勤務。カンボジアの持続的な発展に貢献したいと考えるようになる。日本とカンボジアで製造業に従事した経験を生かし、NOM POPOKでの現在に至る。

お菓子と栄養教育で健康促進

Q: カンボジアでの仕事内容について教えてください。
A: カンボジアの子どもの栄養改善を目指した事業をしています。主に学校や病院に栄養価の高い食材で作った健康的なお菓子を販売したり、訪問先の学校の子どもたちに、栄養改善のための授業などを行ったりしています。

Q:なぜ栄養教育に着目したのですか?
A:カンボジア国内には、慢性的な栄養不足の子供達が33%もいるというのが現状で、日本の家庭科のような食について学ぶ機会がありません。また、カンボジアの学校には、給食がないんです。学校は2部制、3部制で午前中だけ勉強する人、もしくは、午後だけ学校に通う人に分かれていて、基本的には、家で食事をする形になっています。そして多くの人は、食事を「お腹を満たすだけのもの」と捉えてます。(例えば、毎日お米としょっぱい魚のみで栄養バランスを無視した食事など。)このような状況下で、人々の食に対する健康意識、栄養バランスに課題を感じたのがきっかけでした。

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食について学ぶ機会の創出

Q: カンボジアで現在の職に至るまでの経緯について教えてください。
A:両親はカンボジア人ですが私は日本で育ったので、2011年当時、27歳までカンボジアに来る機会は一度もありませんでした。しかし、会社が倒産したのをきっかけにカンボジアに来ました。非営利団体でインターンを経験し、その後、民間企業で働きました。こうした取り組みを始めたは、カンボジア国内には、慢性的な栄養不足の子供達が33%いる事を知り、給食や家庭科の授業というのがなく、食について学ぶ機会がないというのを目の当たりにしました。そして、このような社会問題の解決を目指すビジネスをしたいと考えて始めたのが『ノムポポー』です。

Q:なぜお菓子を商品化しようと思ったのですか?
A:休み時間になると子供達は校内の駄菓子屋さん(売店)でお菓子を買うのですが、そのお菓子をより健康的で栄養のあるものにできたら健康改善や栄養教育にも良いのではないかと思ったのがきっかけでお菓子作りを始めました。

Q:苦難に直面した際、乗り越えるためにどういった考え方をしていますか?
A: 事業を進めていく中で判断しにくいことや、不安になることがあります。そういう時は『先ずはやってみよう』の精神で0.1ミリでも前に進めるようにしています。時には、想定をしていないような苦難にぶち当たる事も多くあります。しかし、行動した結果で問題が起きなら、その時に考えればいいと思えるようになり、どんな事があっても少しでも前進できるようにと考えています。

Q: 現在の会社で今まで一番嬉しかったこと、やりがいを感じることについて教えてください。
A: 若者達の力を感じられた時です。最初の1年は、自分一人で学校での栄養の講義などを行なっていました。なぜならカンボジア人はシャイな人が多く、人前で話す事は無理だと思っていた時期があったからです。ですが、実際にカンボジアで多くの人、従業員に会った事でそれは固定概念だとわかりました。多くの若いスタッフ達は栄養について、新しく学ぶ事に対する意欲も高く、人前でも堂々としている姿を見ていると頼もしくもあり、嬉しい気持ちになります。こういった人達がカンボジアに増えていったら未来は明るくなるなと期待しています。

Q: 福原さんが大切にしていることを教えてください。
A:会社を始める前も現在も、応援して下さる人達のおかげで会社が成り立っているので常に感謝の気持ちを忘れないようにしています。なかなか上手くいかなくてイラッとしてしまう時も度々あります。しかし、上手くいかなくても常に人との関係があってこそ自分自身があるので常に感謝の気持ちや、相手を思いやる心を持つように心がけています。

Q: カンボジアに来て現地の方との関わり方で意識していることはありますか?
A: 「カンボジア人」と一括りにするのではなく、ひとりひとりの人間として向き合うようにしています。そうする事で理解を深め、より良いコミュニケーションが取れると思うからです。私の経験になるのですが、カンボジア語を学んでいた際、小学校の道徳の教科書に「笑顔を絶やさぬように」という言葉があったんです。カンボジアに来た人ならわかると思うのですが、微笑んでいる人が多いんです。カンボジアの教育として人と目があったら微笑みなさいというのがあって、そういうのは、両親の影響もありなんとなく知っていたのですが、こういうのは、現地の言葉や文化を知らなくては感じられない事だと思いますし、新しい考え方や視野が広がるのを実感した体験でもありました。

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今後について

Q:今後どのような事業をしていきたいですか?
A:小学生だけでなく、大人向けの栄養改善の取り組みもしていきたいです。大人向けの事業や、親子向けの栄養カウンセリング、また、お菓子だけでなく日常的に食べられるような物も作っていけたらと思っています。昔は、所得が低かったこともあって病院に行く人は限られていたのですが、現在では、所得が上がった事で多くの人が病院へ健康診断に行くようになり糖尿病や高血圧だと診断される事が多くなってきています。親世代の人々も健康に対する意識が高まってきている事からも、より幅広い年齢の人達へ向けて、カンボジアの健康志向を高められるような取り組みをしていきたいです。

Q:カンボジアで働きたい、起業したいと考えている日本人に向けて一言お願いします。
A:文化を理解する事が一番大切で、一つの手段として現地の言葉をしゃべるというのが重要になってくると思います。異国の地で、違う文化を持った人々の中にいるわけなので、現地の人の文化や考え方を理解するためにも言語によるコミュニュケーションをできるようにしておく事は大事だと日々感じているので少しでも言語を学んでコミュニケーションがとれれば、より良いビジネスに繋がると思います。

会社概要
会社名:NOM POPOK
共同代表:大路 紘子 Hiroko Oji
福原 明 Akira Fukuhara
所在地:#1EE0, Street 706BT, Thnout Chhrum Village, Sangkat Boeng Tumpun 2, Khan Meanchey, Phnom Penh, Kingdom of Cambodia
お問い合わせ:popok.cambodia@gmail.com
Websiteはこちらから

編集後記
今回、カンボジアの食、栄養改善に精力的に取り組んでいる福原さんにインタビューをさせて頂いて、教育の重要性を再認識すると同時に知識の共有をしていく事の大切さを学ばせて頂きました。教育システム、生活水準の整った日本に住んでいると学校で学べる事というのが当たり前になりがちで、知識をインプットするだけで終わってしまう事が多々あります。しかし、そういった知識や学びを多くの人と共有する事で、健康であったり、新しい学びであったり、よりよく生きるための術を広げていく事ができるのではないかと思いました。この記事が日々の食生活、学習を見つめ直す一つのきっかけになって頂けたら幸いです。今回、お忙しい中貴重なお時間を割いてインタビューを受けてくださった福原さんに深く感謝申し上げます。

編集者
堀口裕生